生産者が消費者の方々の質問に答えるQ&Aコーナー。
今回はジビエで定番の『におい』や『くさみ』について。
Q1.猪肉は臭いってホント?
Q2.臭いイノシシは、調理で臭みを消せる?
の2つについて回答していきます。
Q1.猪肉は臭いってホント?
A.いいえ!捕獲後、適切に処置&精肉された猪は臭くありません!
私たちとしては、猪だけでなくジビエ食材の臭みの原因は、おもに「血」と「雑菌」と考えております。
捕獲後の血抜きが不十分で肉の中に必要以上の「血」が残り、血の中に含まれる各種脂肪酸が加熱によって酸化するなどして香りが濃くなり、その結果、食べた時に『臭み』として感じられるものと、
猟師さんが捕獲した猪を冷やすため “川や池につける” などで様々な「雑菌」が付着し、その後の湿度&温度管理が甘かったために雑菌が増殖、『臭み』が出てしまうものですね。
前者は捕獲した猪をすぐに捌いて精肉してしまった場合に起こりやすく、『山奥でイノシシを捕獲したものの、そのままでは持って帰れないためその場で解体した肉』や『罠で捕獲したものの吊るして置く場所がないため捌いてしまった肉』などで見られます。
30kg未満の猪であれば血や肉の成分も薄い(少ない)ためすぐに精肉しても臭みは “ほぼ” ありませんが、30kgを超えてくると捕獲して一晩くらいは血抜きしたいところです。
また後者については、気温が10度以上となる時期に、解体処理場を持たない方(一般的な猟師さんなど)が捌く場合に起こります。昔ながらのやり方ではあるのですが、内臓を出した後や解体した後の洗浄&冷却に川や池の水を使うと、それらに含まれる雑菌が肉に付着します。その後、血抜きのために一晩~2日ほど吊るしたとしても、気温が10度以上の環境下であれば雑菌が繁殖、肉が傷みますので、血による臭さはなくとも、肉全体が臭くなってしまいます。
冷却&洗浄に水道水を使い、冷蔵庫(または厳冬期の屋外も可能)で乾燥・保管→冷凍するのであれば雑菌なども繁殖しにくくなりますので、そういう流れで処理された肉であれば家庭で捌いた肉であっても臭みはありませんよ。
弊社のやり方
弊社では、上記「血」と「雑菌」の2点について以下のように処置しております。
>血抜きについて
捕獲現場で止め刺し後、頸動脈を切って血を抜きながら運搬、その後施設で洗浄&内臓摘出後、冷蔵庫にて一晩~最大5日ほど血抜きを行っております。
>雑菌対策について
また、「猪の洗浄」は水道水、「内臓摘出」と「皮むき」の後には電解水(酸性水)で殺菌を行い、猪肉は通年1℃設定の冷蔵庫にて保管し、真空パックをかけてから冷凍しております。
皮むき後は冷蔵庫で最低一晩休ませる(寝かせる)ことで肉表面の乾燥が進み、雑菌が増えにくくなっています。
もちろん、全工程を通して素手で肉に触れることはありませんし、各作業前には熱湯消毒やアルコール消毒を行っております。
詳しくは、以下のページをご覧ください。
Q2.臭いイノシシは、調理で臭みを消せる?
A.消すことは難しいですが、「血」が原因の臭いであれば香辛料で誤魔化すことは可能です
基本的に、「血」にしろ「雑菌」にしろ、臭みが感じられた肉から臭みを『消す』ことは出来ません。
「血」が原因の場合は加熱によって臭くなっているため、追加で加熱しても変わりませんし、一度変質した「血」は元には戻りません(加熱後に臭みを減らす程度の血を抜くのも困難)。また「雑菌」は肉の表面だけでなく内部にも入り込んでいますので、表面を洗ったところで全体的な臭いはとれません。
ですが、「血」による臭みはあくまで『香りが強くなっている』ことによるものなので、クミンやナツメグなどの香辛料、ネギや生姜などの香味野菜、ハーブを使うことで臭いを誤魔化すことは可能です。
とはいえ、一度臭くなってしまったものを再度加熱しても大きく臭いは消えませんので(加熱済みを「茹でこぼし」てもあまり意味なし)、心配であれば最初に少しだけ塩コショウで焼いて味見してみることを勧めます。
その上で、若干臭みを感じられた場合は「牛乳やワインに浸ける」「味噌に漬ける」などで臭みを取った後(タンパク質は臭みを吸着してくれます)、香辛料や香味野菜を用いて、弱火でじっくり加熱調理してみて下さい。
こうすることで、臭みを気にならない程度まで減らすことが出来ますよ。
本当に美味しいイノシシ肉を楽しみたければ、私たちのような認可施設で製造された肉を選んでいただくのが一番です。
いちいち臭みなどについて心配する必要がありませんから。(冬場のオスなどで特有の香りなどを持つ事はありますが)
美味しいイノシシが気になる方は、ぜひ一度お試しくださいませ。
直接ご来店いただくか、『お問い合わせ』からご連絡いただくか、道の駅「のと千里浜」やJA羽咋など購入できる店舗でお求めいただけます。